理工学研究科の加藤太一郎 助教と中部大学応用生物学部の大場裕一教授、長浜バイオ大学バイオサイエンス学部の白井剛教授らは共同で計算科学と分子生物学的手法を駆使し、世界で初めて白亜紀の最初のホタルの発光の再現に成功しました(写真)。今回の成果は日本時間12 月3 日(木)午前4 時、米国科学振興協会(AAAS)が発行する科学誌サイエンス・アドバンシズ(電子版)に掲載されました。
ホタル科の昆虫は、約1億年前ころに地球上に現れ、そのときにはすでに発光する能力を持っていたと考えられます。ただし、化石記録などからは当時どのような発光色で発光していたのかはわかりません。そこで1億年前のホタルがもっていた発光酵素(ルシフェラーゼ)を計算科学と遺伝子工学により推定復元させ、その復元したルシフェラーゼを発光物質(ルシフェリン)と反応させたところ、現在見られるゲンジボタルやヘイケボタルの黄緑色の発光とは異なる、深い緑色の発光が再現されました。深い緑色の発光には、外敵に対する防御のための効果があったと考えられます。つまり本成果は、失われた過去の光景の一部を現実に甦らせた世界最初の報告であると言えます。
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─ 現代に甦らせた原初のホタルの光は深い緑色だった ─
PDFをダウンロードして見る写真 実験室で再現した白亜紀のホタルの発光
参考画像:ミャンマーから発見された約1億年前のホタルの琥珀化石
尾端に発光器があるのがわかるが、当然ながらその発光の色は化石には残っていない。
(画像提供:モスクワ昆虫センター・カザンチェフ博士)