鹿児島大学理学部は2020年4月から、4学科から理学科5プログラムの教育体制を展開。数理情報科学プログラム、物理・宇宙プログラム、化学プログラム、生物学プログラム、地球科学プログラムの1学科5プログラム制に変わります。
理数系の一般的かつ基礎的な素養と専門分野の知識と技能を修得する
一般コースの教育課程に加え、本格的な研究環境のもとで課題探求能力を深化させる
理学部理学科の4年間を詳しく見る
PDFをダウンロードして見る岩下 知広
数理情報科学プログラム修士2年
(鹿児島県立武岡台高等学校出身)
卒論テーマ
データの関係性の表現~相関係数と発展~
現在の研究課題
極値コピュラによる金融リスク分析
相関係数以外の従属関係
コピュラとは相関係数だけでは捉えきれないデータの複雑な従属関係を表現するモデルのことをいいます。私は複数の金融データ系列の従属関係、その中でも予期せぬ規模の損失の生起確率のモデルに興味を持ち、それを実現するためのモデルである極値コピュラの手法と数学理論を研究しています。
数理情報科学プログラムその他の研究
佐々木 恵
物理・宇宙プログラム修士2年
(福岡県立八幡高等学校出身)
卒論テーマ
ダスト散乱減光の円盤観測に対する影響
現在の研究課題
ダスト散乱が原始惑星系円盤に及ぼす影響
宇宙の研究の面白さ
私は惑星形成分野の理論シミュレーションの研究を行っており、PCの中で原始惑星系円盤のモデルを作り、解析をしています。実際には見ることができない宇宙を、PCの中で見える形にして宇宙の謎を解明しているところが面白いと思っています。分からないこと、行き詰まることが多い日々ですが、コツコツと努力をしながら研究に励んでいます。
物理・宇宙プログラムその他の研究
岩井 優実
化学プログラム修士2年
(熊本県立宇土高等学校出身)
卒論テーマ
腸移行性抗体を用いた炎症性腸疾患の治療薬開発に向けた基礎研究
現在の研究課題
がん治療に向けた二重特性抗体の作製
よりよい医薬品の開発を目指して
従来のものより治療効果の高い抗体医薬品の開発を目指して、日々研究に取り組んでいます。研究を進める中で分からないことや壁にぶつかることも多いですが、自分の好きや興味を追求できる環境に身を置けている今がとても楽しいです。
化学プログラムその他の研究
梅月 毬華
生物学プログラム修士2年
(九州国際大学附属高等学校出身)
卒論テーマ
根粒菌に対するカスミヒメハギの応答解析に適した栽培・実験系の検討
現在の研究課題
カスミヒメハギの根粒共生系再構築のための基盤研究
基礎から応用研究まで
理学部は基礎研究のイメージが強いですが、実用化を目指した研究も進めています。私は、根粒菌とマメ科植物の共生窒素固定を、持続可能な農業へ応用するための新規手法の開発を目標として、日々研究に取り組んでいます。修士課程は2年間ととても短いので、少しでも多くの成果を残せるよう頑張っています。
生物学プログラムその他の研究
藤井 俊一郎
地球科学プログラム修士1年
(福岡県立福岡中央高等学校出身)
卒論テーマ
1968年日向灘地震の観測波形と理論波形の比較
現在の研究課題
1968年日向灘地震の震源過程
地震波形を用いた震源過程の推定
地震は多くの場合、断層面が急激にずれることで生じます。その際に地震波が放出されます。地震波は地球内部を伝播し、設置された各所の地震計に地震波形として記録されます。私たちが想像している以上に、地震波形には多くの情報が含まれています。私はこの地震波形を用いて、断層面上の破壊過程(震源過程)を推定する研究に取り組んでいます。
地球科学プログラムその他の研究
城戸 未宇
基盤研究コース博士1年
(筑紫女学園高等学校出身)
卒論テーマ
ALMA望遠鏡を用いた若い星に付随する星周円盤の直接観測
修士テーマ
星周円盤の力学構造及びその円盤に降着する分子ガスの空間・速度構造の解明
現在の研究課題
降着分子ガスが星周円盤の物理・化学構造に与える影響
日々の地道な研究のその先に
惑星形成の現場である星周円盤は、その周囲に存在する分子ガスの塊から質量が供給され、惑星の材料を蓄えていきます。現在私は、降着物質による衝撃が円盤や惑星形成に与える影響を観測データに基づいて調べています。研究は地味なことも多々ありますが、その積み重ねの先に大きな成果が待っていると思います。「惑星はいつでき始めるのか」という天文学の最重要課題の答えに少しでも近づけるように、今後もコツコツと楽しみながら研究に取り組んでいきたいです。
総合理工学専攻その他の研究
※学年は2023年6月現在のものです。
学科 |
資格等 |
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理学科 |
中学校教諭一種免許状(数学)、高等学校教諭一種(数学・情報) 中学校教諭一種免許状(理科)、高等学校教諭一種(理科) 学芸員(任用資格)、※測量士補 |
※測量士補については、数理情報科学プログラム及び地球科学プログラムを卒業した者が登録をする資格を有する。
アドソル日進、アルトナー、英進館、SCSK、NTTデータ先端技術、エスユーエス、オーガランド、鹿児島銀行、鹿児島大学、現場サポート、神田通信機株式会社、サザンクロスシステムズ、サニックス・ソフトウェア・デザイン、システムインテグレータ、システム開発、SHIFT、島津興業、スクラムソフトウェア、昴、税理士法人さくら優和パートナーズ、ゼンリン、総合プラント、ソフトマックス、WDB工学、東京海上日動火災保険、トヨタシステムズ、南国システムサービス、西日本シティ銀行、西原商会、日本ガス、NEO、ネオス、肥後銀行、富士通Japanソリューションズ九州、南日本カルチャーセンター、南日本銀行、南日本情報処理センター、モバイルコミュニケーションズ、ユーコー、リコーITソリューションズ、リコージャパン、ワークス株式会社
鹿児島県警、熊本国税局、九州財務局、北海道労働局、枕崎市、鹿児島県、長崎県、日向市
鹿児島県公立中学校、熊本県公立中学校、宮崎県公立中学校、神村学園、福岡舞鶴高等学校、福岡県公立中学校、鶴丸高等学校、山口県特別支援学校、大分県立別府鶴見丘高等学校
鹿児島大学、九州大学、名古屋大学、大阪市立大学、筑波大学
アウトソーシングテクノロジー、アソウ・アルファ、アドバンテック、アルファシステムズ、インフォテックソリューション、Wiz、SCSK、NECネッツエスアイ、NTTフィールドテクノ、MJC、大分交通、乙の国福祉会、鹿児島銀行、川崎技研、キャノン電子、京セラ、霧島酒造、ケンコー・トキナー、サイヤ、ジェイ エイ シー リクルートメント、システック井上、図南木材、綜合キャリアグループ、ソーバル、ソニーセミコンダクタマニュファクチャリング、ソフトマックス、TACSOL、テクノプロ・IT社、デンソーテクノ、徳之島観光連盟、中島自動車、ナフコ、日米電子、ニデック(旧 日本電産)、日本電気航空宇宙システム、パーソルワークスデザイン、パパカンパニー、ビジネスソフト、日立アドバンストシステムズ、フードコスメ、富士通鹿児島インフォネット、富士発條、ホルベイン工業、三菱スペース・ソフトウェア、三菱電機住環境システムズ、メイテック、ワールドインテック、和歌山太陽誘電、USEN-NEXT HOLDING
法務局、鹿児島市、熊本市、宮崎県警、鹿児島県警、気象庁、南さつま市、鹿児島県、大阪府
宮崎県私立中学校、長崎県公立中学校、熊本県公立高等学校、神村学園、鳳凰高等学校、れいめい高等学校、精華女子高等学校、東福岡高等学校
鹿児島大学、熊本大学、九州大学、名古屋大学、関西大学、筑波大学、北海道大学、奈良先端科学技術大学
アウトソーシングテクノロジー、あつまるホールディングス、アドバンテック、有迫組、イリソ電子工業、ウェルファムフーズ、うめの地所、応研、大分大学、大口電子、鹿児島銀行、鹿児島相互信用金庫、カチタス、川金コアテック、関西酵素、関東化学、キューサイ、KMバイオロジクス、クリニカルパソロジーラボラトリーグループ、小林食品、サンケイ化学、ジー・サーチ、JAたまな(玉名農業協同組合)、十八親和銀行、新日本科学、スピングルカンパニー、生活協同組合コープみやざき、税理士法人近代経営、W-Endless、ターゲットメディア、田口電機工業、鉄建建設、てまひま堂、同仁化学研究所、トクヤマ、西日本電信電話(NTT西日本)、日本年金機構、ネットマーケティング、Faro、パナソニック、濱田酒造、光昭、菱友システム技術、双葉産業、プランテック、プログレス・テクノロジーズ、ベネッセコーポレーション、丸一鋼管、マルホ、宮崎商会、宮崎銀行、宮島醤油、六元素情報システム、Lib Work、和光ケミカル
鹿児島県、鹿児島市、霧島市役所、出水市、鹿屋市、鹿児島労働局、宮崎県、佐賀県、大分県、農林水産省、都城市消防、陸上自衛隊、文部科学省、国家公務員一般職、松山市
鹿児島県公立中学校、鹿児島県公立高等学校、鹿児島県公立高等学校(理科助手)、鳳凰高等学校、熊本県公立高等学校、京都市立日吉ヶ丘高等学校
鹿児島大学、熊本大学、九州大学、大阪大学、京都大学、筑波大学、東京工業大学、名古屋大学、東京農工大学
アイホー、アウトソーシングテクノロジー、アサヒビール、アドバンテック、イオンディライト、一富士フードサービス、VSN、ウィルオブ・ワーク、エーコープ鹿児島、英進館、ecommit、かごしま教育文化振興財団、鹿児島相互信用金庫、鹿児島水処理、キャン・プラン、九州建設コンサルタント、九州タブチ、共和テック、KDDIエボルバ、国際航業、齋久工業、坂元醸造、ジーアンドエスエンジニアリング、Gcomホールディングス、システムライフ、システムコーディネート、Japan Advanced Semiconductor Manufacturing、新和技術コンサルタント、スクールパートナー、スターバックスジャパン、ステップ、昴、スペシフィック、生活協同組合コープかごしま、西部ガステクノソリューション、積水ハウス、セラPOST、ソイルテック、総合システムリサーチ、ソーバル、ソフト流通センター、SOMPOケア、ダイキン工業、ダイセキ、タカラバイオ、タナベ環境工学、WDB、東洋アルミニウム、巴設備工業、西日本シティ銀行、西日本電信電話(NTT西日本)、ニッセイ・ウェルス生命、日本地下技術、パーソルR&D(旧 日本テクシード)、三井倉庫ホールディングス、Misumi、宮崎銀行、八千代エンジニヤリング、ヤマエ久野、リツビ、ワイテック、ワールドインテック
鹿児島県、鹿児島市、日置市、南九州市、鹿児島労働局、熊本県、長崎県、宮崎県、高知県、海上自衛隊、気象庁、枕崎市、長崎市、鹿屋体育大学、都城市、陸上自衛隊
鹿児島県公立中学校、熊本県公立中学校、宮崎県公立中学校、長崎日本大学学園
鹿児島大学、熊本大学、京都大学、北海道大学、金沢大学、崇城大学、高知大学
鹿児島大学理学部の講義をひと足早く体験
理学部先取り履修科目は、高校生も受講することができる大学生向けの講義科目です。理学部の学生と一緒に大学の講義を受講することで、大学の雰囲気や理学部でどんな勉強をするのかを感じることができます。鹿児島大学理学部へ入学した後には、理学部専門科目の単位として認定されるので、その分、大学での卒業研究や課外活動に打ち込むことができます。
数理情報科学プログラム「カードシャッフルの数学」、物理・宇宙プログラム「ファインマンの力学」、化学プログラム「ホタルはなぜ光る?—酵素タンパク質の化学—」、生物学プログラム「遺伝子研究の歴史と応用」、地球科学プログラム「地震の科学」といった講義が開講されています。
参加者の感想
課外研究にチャレンジ!
サイエンスクラブは、理数分野に強い学習意欲と基礎学力のある学生を対象としたプログラムで、1年生から3年生までを対象にした課外の研究活動です。担当の教員から提案されたテーマに沿って研究内容を打ち合わせ、自分たちで研究を行っていき、年度末には学内の発表会において研究結果を発表します。少人数で行うので、教員とも仲間とも十分な議論を行うことができます。文部科学省が主催する「サイエンス・インカレ」に参加することにより、学外で発表する機会を得ることもできます。
参加者の感想
「科学する楽しみ」を伝える教員育成
理科が好きな児童・生徒を育てる教員は、自ら理科が面白いということを実感する経験が豊かであることが必要です。CSTでは自然科学の面白さを体験するとともに、好奇心を持って自然科学を探求する学習活動を通して、児童・生徒に「科学する楽しみ」を伝えることができる理数系教員の養成を目的にしています。中学校教員免許状(理科)を取得、あるいは取得見込みの大学院在籍学生や鹿児島県内の小・中学校(理科)の現職教員の方を受講対象者としています。
参加者の感想
オフィスアワー&ワークプレイスによる理解の深化
学生の自学自習や協働課題解決の定着と理解の深化を目的として、適切な履修科目数管理と授業外学習時間を考慮した専門科目の時間割にしています。学生は、授業とは別に指定されたオフィスアワーとワークプレイスの組み合わせによって、一人でまたは他者と協力して課題やレポート作成に取り組みます。授業内容等についても質問することができ、理解を深めていきます。
地震火山観測研究の最前線
鹿児島市吉野町にあり、地震や火山の活動の観測と研究を行っています。その中でも、九州南部から南西諸島北部の陸や海で起こる地震活動を重点的に調べています。九州南部やトカラ列島の活火山では、火山活動に伴う地震活動や地殻変動を捉え、火山活動や噴火現象の解明を行っています。理学部・理工学研究科と協力し、学部生、大学院生の受け入れも行っており、自ら取得したデータや最新のデータを使った研究を行うことができます。
国家プロジェクトの一環として、観測空白域である南西諸島北部の海域を対象に、「海底地震計」と呼ばれる機器を用いることで、海底下で発生する地震やスロー地震といったプレート間すべり現象の解明を目指しています。
世界と連携して天の川の謎を解く!
天の川銀河研究センターは、大学院理工学研究科附属の研究組織で、理学部からは物理宇宙プログラムに関連する教員が参加しています。太陽系が属する銀河である天の川銀河で起こる様々な現象の解明が研究テーマです。鹿児島大学1m光赤外線望遠鏡や、入来20m電波望遠鏡のほか国内外の最新の望遠鏡を用いた観測やスーパーコンピュータによる数値計算などによって、星や惑星の形成、天の川銀河の構造と運動、ブラックホール周囲で起こる現象などを調べています。国内外の研究機関とも連携しており、大学院生になると研究や観測で海外に行く人もいます。また、理学部の学生も卒業研究などを通じて、センターが行っている最先端の研究に触れることができます。
スーパーコンピュータを駆使した大規模な数値計算を用いて、数千億個の恒星や星間物質、ダークマターがからむ複雑な物理現象を解くことで天の川銀河をデジタル空間に創り出し(図1)、最新の観測データ(図2)と比較し、銀河の構造や形成過程の謎に挑んでいます。
(図1)馬場淳一、中山弘敬、国立天文台4次元デジタル宇宙プロジェクト
(図2)ESA/Gaia/DPAC