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小沼准教授ら共同研究チームがオタマボヤの内柱がもつ2大機能領域の形成における甲状腺関連遺伝子の役割を解明しました

 小沼 健准教授と千葉大学(小笠原研究室)、筑波大学(笹倉研究室)との共同研究により得られた成果は、内柱の形成における甲状腺関連遺伝子の機能を動物で初めて明らかにしたもので、Developmental Biology誌に掲載されました。

 内柱とは、私たち脊椎動物の甲状腺に相当する咽頭器官です。内柱のおもな領域は、(1) 懸濁物摂食のための粘液タンパク質分泌領域 (図dの黄色)と (2) ヨードの代謝機能をもつ甲状腺相同領域 (図dのオレンジ色)に大別されます。とくに (2)は、内柱が甲状腺の起源と考えられてきた根拠でもあります。これまで、内柱の各領域において、甲状腺に発現する遺伝子のホモログが発現することが知られていましたが、その働きはよく分かっていませんでした。本研究では、内柱を持つ動物のなかでもシンプルな構造を持つワカレオタマボヤに着目して、甲状腺形成に重要な2つの転写因子(Nkx2-1, FoxE)の働きを調べました。その結果、これら2つが異なる細胞に発現することや、それを介して (1)の粘液タンパク質分泌領域と (2)の甲状腺相同領域の形成を制御することが分かりました。とくにNkx2-1の働きを阻害すると、上記の機能的領域がどちらも消失することが分かりました (b)。

掲載論文:

Takeshi A. Onuma†, Rina Nakanishi, Yasunori Sasakura, Michio Ogasawara† (2021) Nkx2-1 and FoxE regionalize glandular (mucus-producing) and thyroid-equivalent traits in the endostyle of the chordate Oikopleura dioica. Dev. Biol. 477: 219–231 (†Corresponding authors)

DOI: 10.1016/j.ydbio.2021.05.021

 

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