鹿児島大学、国立天文台、ノースウェスト大学(南アフリカ)、東京大学宇宙線研究所、オランダ宇宙研究所、名古屋大学、九州大学、南アフリカ電波天文台、SKA機構などからなる国際研究チームは、はと座の方向6.4億光年の距離にある銀河団Abell 3376を、南アフリカ電波天文台が運用する電波干渉計「ミーアキャット」を使って観測しました。この銀河団は、大小ふたつの銀河団が合体している現場で、この観測から銀河団の中心に位置する銀河から噴射されるジェットが、小さい銀河団の境界面で二手に折れ曲り、細くたなびくようすが初めて捉えられました。
この構造を作るメカニズムを解明するため、国立天文台の天文学専用スーパーコンピュータ「アテルイII」を用いたシミュレーションを実施しました。その結果、銀河団を包み込む磁場にジェットがぶつかることで二手に折れ曲り、折れ曲がった先から磁場に沿って細く伸びる構造を再現することに成功しました。
本研究によって、銀河から吹き出すジェットと銀河団磁場の相互作用の現場が初めて捉えられました。ジェットの構造を詳細に調べることで、直接観測することが難しい磁場の構造を明らかにするという新しい手法が得られたことになります。